【坂口安吾 暗い青春、堕落論】人は正しく堕ちる道を堕ちきることが必要なのじゃ

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私の青春は、いったいいつやってくるのじゃ!? 

高校生のころ、青春がいつやってくるのか知りたくて、この言葉をテーマにした本を乱読していました。たとえば、北杜夫「どくとるマンボウ青春記 」、亀井勝一郎「青春論」、高野悦子「二十歳の原点」などなど。坂口安吾の「暗い青春」とも、このころに出会いました。今回は、坂口安吾についてつづってみます。

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青春は力の時期であるから、死の激しさと密着しているという。安吾の親しい死者たちの話が続きます。自殺した芥川や同人たち。若い野心家のたちの陰うつな人生も、ブルージーで味わい深い。なんて、若気の至りで感じてしまった。

この作品に限りませんが、暗いわりに、からっとして読後感は良い。

堕落論・日本文化私観 他二十二篇 (岩波文庫)
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次に手にしたのは、有名な「堕落論」です。「人は正しく堕ちる道を堕ちきることが必要なのだ」と、安吾はたんかを切る。心底、ロケンローな人だと思いました。

人は正しく堕ちる道を堕ちきることが必要なのだ。そして人の如くに日本も亦堕ちることが必要であろう。堕ちる道を堕ちきることによって、自分自身を発見し、救わなければならない。

出典:坂口安吾.『『坂口安吾全集・444作品⇒1冊』 』(Kindleの位置No.51774-51776).AngoSakaguchiCompleteworks.Kindle版.

私は思いました。墜ちきらねばならない局面に出くわしたとき、自分の人生がやっとはじまる。堕ちて、人は、やっと変われる。通常は、墜ちきらねばならぬと思わせる人生に、遭遇したくない。全力で避けたい。学校の入学も卒業も就職も、冠婚葬祭そつなく終えたい。

でも、なにかの拍子に、墜ちてしまう。思わぬところで潮目が変わる。これまで良いと思っていたものが、最悪のものに変わる。それがいつ起こるかは、誰にも分からない。

個人の話に限らない。不祥事を起こしたり経営破綻しそうな法人だって、徹底的に堕ちなければ、企業DNAレベルで変わらないだろう。

ただし、安吾は堕ちるにも、正しく堕ちよと言っています。死ねと言っている訳でもないし、没落を勧めているわけではない。

いつしか、青春のはじまりなるものに興味が薄れ、人生のはじまりを考える方が面白くなってきました。私の青春は、いつの間にか始まっていたからなのだろう。

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木村邦彦
某メディアの編集制作をしています。妻と二人暮らしの兼業主夫でもあり、実生活の充実も大切にしてます。最近はまっているのは、禅関連の読書。(さらに詳しい自己紹介
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